2006年6月17日掲載
Mal Waldron       Impressions
Status原盤      1959年3月録音

 Andy Scherrer の 「Remember Mal Waldron」を取上げた際に書いたことのですが、マルは本当に良い曲を書く人なんですよね。

 8年近く前にこのサイトを開設した時に、ジャズ・コーナーではコルトレーンやドルフィー、そしてモンクを中心に取上げていく予定でした。ところが構想を壮大にしたため、未だに手がつけられない状況です。マルに関しては、コルトレーンやドルフィーの掲載を終えてから、彼の作品を取上げて行こうと考えてました。しかしそんな計画も、ドルフィーに関しては、「今日の1枚」で取上げ始めましたので、なし崩し的状況です。

 そんなことで、マルの1950年代の名盤を取上げます。アディソン・ファーマー(b),アルバート・ヒース(d)との録音です。

20060617

 岩浪氏の国内盤解説のより引用します。
 マルはビリー・ホリデイの伴奏者として1958年11月にフランスとイタリアを楽旅。帰国後の12月に、その印象を『オーバーシーズ組曲』にまとめたのである。さて、この『オーバーシーズ組曲』は、どの作品に記録されているのでしょうか。マルのディスコグラフィを眺めたのですが、組曲全体を収録された作品が見つかりませんでした。

 さて今回取上げた作品インプレッションズには、この『オーバーシーズ組曲』から、4曲収録されています。パリの街並みの雰囲気が感じられる、お洒落な曲であります。その中で『ciao!』は、マル独特のブルース感覚とリズム感覚が、味わえるものであります。また『c'est formidable』は、そのリズム感覚とおしゃれ感覚が絶妙に合わさった演奏になっております。

 『オーバーシーズ組曲』の存在には疑問が残りながらも、この1950年代後半のマルの充実振りを改めて実感した今回でした。