テナー・サックス奏者のボブ・ロックウェルが、Ben Sidran(p), Billy Peterson(b), そしてLeo Sidran(d)と吹き込んだ作品を今日は紹介します。
多彩な活動を行なっているピアニストのベン・シドランとの共演作品ですが、タイトル名のベンとは、ベン・ウェブスターのことであります。ボブはこの2年前に同じレーベルに、「Bob's Wilder」という作品を残しています。この際は、作曲家のアレック・ワイルダーへの作品でした。ジャズ・ファンにとってアレック・ワイルダーは間接的に接している方なのですが、今回のベン・ウェブスターは普段から馴染み深い方なので、こちらの方がジャズ・ファンにとってしっくりくるものでしょう。
ちなみにドラム奏者は、ベン・シドランの息子さんとのことです。
ジャケに移るボブさんの表情がいいですね。芯があり実直な人柄を感じさせます。Stephen Freiheitという私は知らないお方が撮影したものですが、調べたところポートレイトの撮影では定評のあるお方のようです。
さて演奏ですが、ジャケのボブさんの表情通りの演奏です。その極め付けが、ウェブスターが愛したバラッド「ザッツ・オール」での演奏です。誰でも聴き入ってしまうこのバラッド演奏は、ボブさんの人間性と、ウェブスターへの敬愛によるものでしょう。作品の中では地味な存在なのですが、この1曲だけでこの作品を聴く価値があります。