わが国で、そして世界で愛されているテナー・サックス奏者のズート・シムズは、1985年にお亡くなりになりました。まだ59歳でしたので、新たな展開を期待できただけに、ジャズ愛好家から悲しまれたものでした。
今日取り上げる作品は、亡くなる8年前の52歳の時の来日公演の模様を収めたもので、2009年に発売されました。そのテープがどのような経緯でマシュマロ・レーベルに持ち込まれたかは分かりませんが、封入解説によればマシュマロ・レーベルとシムズさんの未亡人との間で連絡を取り合っているとのことなので、正式販売と言えるでしょう。
本作品は第2集となっています。マシュマロ・レーベルから第1集が発売された際には、すぐに完売したそうです。その内容はスタンダード中心だったのですが、今日取り上げる第2集は上不氏曰く「地味な楽曲」が多く収録されています。
デイヴ・マッケンナ(p), バッキー・ピザレリ(g), メイジャー・ホリー(b), そしてジェイク・ハナ(d)との演奏です。
ライブでのベーシストによる余興も収録されていますが、映像がないのでそれを入れる必要はなかったと思います。しかしそれなりの収録時間を確保するためには、また記録しての意味で、収められたのでしょう。或いはズートの休憩時間のためなのかもしれません。
主役のズートの演奏では、「In A Mellow Tone」での陽気に会場を盛り上げる姿、「I Got It Bad」で静かに聴かせる姿なり、第一線級のジャズマンの貫禄と、まだまだ若いんだよとの熱気が重ね合わさり、聴きごたえある内容になっています。