2017年9月6日掲載
Mark Murphy              Rah
Riverside原盤              1961年9月録音

 「My Favorite Things」と言えばコルトレーンとなる訳ですが、元々は1959年のミュージカル「Sound Of Music」のために書かれた曲であります。コルトレーンは1960年9月のライブで初めて取り上げましたが、ジャズ界ではベニー・グッドマンが1959年に取り上げております。

 さて今日の主役は、マーク・マーフィーさんです。男性ジャズ歌手と言えば、大御所クラスはいるのですが、2番手・3番手クラスというと、なかなか名前が上がらないものです。女性の場合は数多いるのですが、男性の場合は2番手・3番手というと、このマーフィーさんということになるのでしょう。

 マーフィーさんは85歳で亡くなる2015年まで活発な活動を行なっていましたが、ジャズ黄金期ではさほど注目されない存在でした。そんな彼にもキチンと目を向けたのがキープニュースであり、リバーサイドにマーフィーさんの代表作である本盤を残しました。

 スタンダードを取り上げている本盤では、「My Favorite Things」も入ってます。アメリカで再発された際に別テイクに置き換えられたのですが、日本での初発売となった1974年には、両テイクが収められました。

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 冒頭の2曲では、スパイドラマでの挿入歌のような雰囲気で仰々しく歌っておりますが、その後は王道を行くジャズとなっています。歌唱力と表現力の高さがよく分かるものです。後半はヴォーカリーズであるとのコメントを見かけることがありますが、マーフィーさん独自の計算されたアドリブ風のものと感じます。「My Favorite Things」ではそのアドリブ風の場面では、次のように歌っております。「John Coltrane takin’ Miles and Gil blowin’」というように、他にもマリガンやアニタの名を出しながらの歌詞となっています。その辺りも考えながら聴いていると、興味深くなる作品であります。