バリトン・サックスの巨匠ジェリー・マリガンは、1940年代後半から亡くなる1990年代までジャズ界の第一線で演奏活動を行ってきましたが、最も輝いていたのは1950年代の初めから中盤だっと言えるでしょう。1954年に入ると新たな自分のバンドを結成し、6月にはパリに乗り込み、サル・プレイエルでライブを行いました。ボブ・ブルックマイヤー(vtb),レッド・ミッチェル(b),そしてフランク・イソラ(d)が、そのメンバーです。なおこの作品は、パリ・コンサートと呼ばれることが多いものです。
2枚組LPをCD1枚にしたものを聴いていますので、70分超を一気に聴いたのですが、マリガンとボブ・ブルックマイヤーの2管の絡みの魅力で、飽きることなく聴き通しました。この演奏がパリのジャズ・ファンに熱狂を持って迎えられたのは、この点であったのでしょう。そしてミッチェルの骨太ベースの華麗なサポート。また1940年代から活動しながら1957年に突如として引退したイソラの存在も、この作品を盛り上げるものです。巨匠マリガンの代表作と言えるでしょう。