1966年に欧州からアメリカに戻ったクリスは、1968年までの間に、プレスティッジへ精力的に録音を行いました。そんな作品を、何枚か続けて紹介していきます。
さて第1作は、かつてここで取上げた「This Is Criss」であります。この作品では、Walter Davis Jr. がピアノを務めておりました。そして第2作は本日取上げる作品であり、同様に Walter Davis Jr. がピアノを務めております。Paul Chambers(b),Alan Dawson(d) が加わっての、クァルテットでの録音です。
ジャケに写るクリスは、もの悲しげな表情です。
アップ・テンポからスロー・ナンバーまで、吹く喜びに満ちているクリスの演奏を味わえます。それに比べると、バックの演奏は軽く仕上げたという感じ。そんなことも、クリスの演奏で吹っ飛ばしている出来栄えです。
特筆すべき曲は、『on a clear day』であります。この曲には、you can see forever というサブタイトルが付く場合があります。「晴れた日には永遠が見える」という意味深なタイトルのこの曲は、1965年のミュージカルの主題歌であり、1969年には映画化もされております。この曲でのクリスの演奏は、まさにこのタイトル通りのことがおきるようにとの、願いが込めれているように感じました。スローで入っていき、ミドル・テンポでの演奏を聴かせてくれます。
もう1曲特筆すべき出来の曲があり、それはチャップリン作の『smile』であります。無伴奏で入っていき、やがてバックを伴っての熱演に変わります。
この2曲で、幸せな気分に浸れる作品です。