この作品をどう紹介すべきか、迷っております。先ずはメンバーを。Bill Brooks(d),Booker Ervin(ts),Tete Montoliu(p),Erich Peter(b)がクレジットされています。そしてクレジットされておりませんが、Nuria Feliu が歌っているはずです。タイトルは、この5人の名前を羅列してあるだけであります。
かつてピアノのテテの「Piano For Nuria」とい、1968年録音の作品を取り上げました。そこで、このヌリアとは、「Tete Montoliu with Nuria Feliu and Booker Ervin 」で共演している歌手のことであろうと書きました。この情報はネットから仕入れたものでありましたが、それと今日取上げる作品は、恐らく同一のものでしょう。誰がリーダー格なのかは、聴いたあとに記します。録音は、1965年であっていることでしょう。この年に吹き込まれたテテの作品は、既に3枚取上げております。
10曲中6曲で、ヌリアさんは歌っております。歌声は、ダイナミックなもの。シャンソンは歌っておりませんが、越地吹雪さんのような感じです。スタンダードを取上げていますが、歌詞は恐らくスペイン語でありあます。ヌリアさんが歌っている曲でも、バックの演奏は割合多め。その歌入り曲と、歌なし曲での演奏を聴くと、ブッカー・アーヴィンのテナー・サックスの色が強く出ている演奏であります。テテのピアノは、脇役に回っていながらも、自己主張しいます。歌入り曲では、ヌリアさんとアーヴィンが正面からぶつかる場面が少なかったのが少し残念でした。『lullaby of birdland』がそんな数少ない場面の一つですが、歌伴など意識しないアーヴィンの迫力サックスに対して、真っ向から挑むヌリアさんの歌には感心致しました。
さて、リーダーは誰なのでしょう。ネット上でこの作品について調べたところ、ヌリアさんはスペインを代表する女性ヴォーカリストとのこと。そんな彼女が、ジャズ界の有名人を集めて吹き込んだのが、この作品とのことでした。しかしこれだと、半分近くが歌なし曲というのが、納得いきません。僕の勝手な想像だと、テテのプロデュース作品なのではないでしょうか。スペイン繋がりでテテとヌリアは面識があったのでしょう。そしてジャズを歌ってみたいとのヌリアの要望に従って、テテがメンバーを集めてレコーディングしたのがこの作品だったのでは。
さてオリジナル盤市場で常に高いらしいこの作品を、これからも繰り返し聴くかといえば、ノーになります。全体の色合いが、ヌリアとアーヴィンの2色に分かれており、統一感に欠けるからであります。『loverman』の出来の良さを求めて、数年後にまた聴くことでしょう。