著名な歌手ローズマリー・クルーニーですが、この作品が初買いになります。「ロージーのバラード・アルバムの最高峰。自ら、最も好きなアルバム、と言っていた」と、帯に書いてあります。まぁ、数多くある彼女の作品の中でも良い方なのだろうと思い、購入しました。
1928年生まれの彼女は、3歳下の妹とコンビを組んで、歌手活動をしておりました。やがて妹は故郷へ帰り、ローズマリーはコロンビアと契約し、NYに進出しました。そこで無理矢理吹き込まされたのが、大ヒットした『カモナ・マイ・ハウス』だったとのこと。一応スターの仲間入りをした彼女ですが、離婚だ何だで私生活上の問題を抱え、1960年代まであまり芳しい活動は出来なかったようです。そんな状況の中で、ネルソン・リドルとの恋愛中に吹き込まれたのが本作品です。編曲指揮は、もちろん恋愛相手であります。
寛容な優しさが漂う歌声。それでいながら、男にはない女性の強さが垣間見れる歌声。本来ならば明るく元気溌剌と歌う方らしいですが、ここではバラッドへの愛の込め方に集中しております。『more than you know』など、有名曲も華麗に。しかし今回の初聴きでは、あまり取上げられない、ハート=ロジャース作の『yours sincerely』での魂の入れ方に、惚れました。
さてこの録音は、彼女の不遇の時代にあって光り輝くものです。しかし彼女自体に光が当たりだすのは、1970年代後半のこと。親友であるビング・クロスビーの力を借りコンサートに出演し、そしてコンコードから作品を発表して以降のことであります。機会があればコンコード時代の作品を買って、ここで取上げたいです。