2006年6月27日掲載
Monty Alexander    We've Only Just Begun
MPS原盤                 1971年12月録音

 自慢話をしますが、ボブ・マーリーのステージを、厚生年金会館で観たことがあります。ジミー・クリフのステージを、中野サンプラザで観たこともあります。音楽を時代体験出来た1970年代後半の、一コマです。あの頃は、レゲエとパンクが、大好きだったのです。

 さて、今日の主役はモンティ・アレキサンダー(p)であります。かつてここでは、1998年録音の作品を取上げました。それはレゲエ色が強いものでしたが、その時にはジャマイカ出身のモンティなのですから、当然のことと考えておりました。しかしモンティは1960年代初めに、マイアミに移住しております。モンティがジャマイカで過ごしていた時代には、レゲエは勿論なく、スカも芽生えていなかったのでしょう。そんな意味では、ジャマイカの血によってモンティは、レゲエを消化させたのでしょう。

 ジャマイカ時代はクラシック・ピアノを学んでいたモンティ。その一方で、サッチモを聴いていたモンティ。居をアメリカに移し、NYのクラブでジャズを演奏し人気を集めた後に、レギュラー・ユニットで活動しておりました。そんな時の、NY州チェスターにあるモンティセロ・ロウンタウナー・モーターインで収録されたライブ盤を、今日は取上げます。

 ユージーン・ライト(b),ボビー・ダーハム(d)との録音です。

20060627

 レゲエの話を書きましたが、この作品はレゲエ色はありません。しかし、明るく軽快に飛ばすモンティがおります。これは、ジャマイカの血の成せる技なのでしょう。その明快さは、1曲目の『it could happen to you』で堪能出来ます。 2曲目はルグランの『summer of '42 theme』ですが、美旋律をそのまま、ひたすら美しく演奏しております。この素直さもなかなかなものですが、モンティならではの持ち味も聴きたかったところです。タイトル曲や『love story theme』では、アレンジに工夫を凝らしておりますが、モンティの持ち味とまでは言えないもの。しかしながら、この明るく軽快に飛ばすピアノは、誰でも出来るものではなく、その意味で存在感はある作品です。