このコーナーでスティットを取上げるのは5枚目になりますが、スティットを好きだと言うわけではありません。プレスティッジを集めていた関係で、ここで取上げてきたのです。そんな中にあって、購入時点で繰り返し聴いたのが、今日取上げる作品であります。バリー・ハリス,サム・ジョーンズ、そしてドラムにアラン・ドウソンが加わってものです。なお、この録音から4ヵ月後の吹き込み作品を、過去に取上げております。
短期間ながらマイルスのところにいたスティットですので、マイルス作の『tune-up』を取上げるのは自然なところでしょう。ここでは、スティットの豪快な吹きまくりが聴けます。2曲目の『I can't get started』では、本当にリラックスしたバラッド演奏を披露しております。パーカーが取上げたことでスタンダード入りした『just friends』では、ノリの良さで勝負しているスティットです。そして、ガーシュインの有名曲『I got rhythm』では、ゆったりと出だしを吹いております。そしてその後は吹きまくり。そして気心が知れたバック陣では、特にバリー・ハリスが大健闘しております。
総じて言えば、リラックして楽しんで演奏しているスティットの作品であります。スティットの公式レコーディングは100枚ほどあるそうですが、僕が持っているのは数枚ほどのもの。ですから、スティットについては全体像を語ることが出来ないのです。しかしイメージだけで言えば、ストレートに飛び込んで来ない演奏との印象が強かったです。その中でこの作品は、まさにストレートに飛び込んでくるスティットの演奏なのです。そんな意味合いの部分が、購入した時に繰り返し聴いた理由だったのでしょう。久し振りに聴いた今回も、暫くは繰り返し聴きたくなりました。僕にとってのスティットの代表盤であります。