Ralph Reichert はテナー・サックス奏者で、過去にここでリーダー作を取上げております。Jerry Tilitz はトロンボーン奏者で、歌も披露しているようです。この二人がリーダーのクィンテット編成での、ハンブルグのジャズ・クラブでのライブ録音であります。
ほのぼのとしたハード・バップという印象を最初に持ちますが、聴き入って行くと、何とも骨太の演奏だとも感じ出します。先ず弱さは、管二人の存在感の弱さ。大物の風格も無いですし、若手の勢いなどは望むべくもないこと。そんな二人の演奏なので、「ほのぼのとした」というような感想を最初に持つのでしょう。しかし凄いのは、どうってことのないオッサンの演奏が、次第に凄みを持ってくるように感じることであります。何か真のジャズ・マンの凄みを感じます。最初と最後に演奏されているJerry Tilitz作の『nik's got the knack』で、そんな二人が上手く表現されいます。スルメ盤になる可能性をもった1枚です。
最後に訂正ですが、これはライブ録音ではありません。クレジットには、at birdland jazzclub, humburg とあるのですが、拍手なしです。