テナー・サックス奏者アラン・スキッドモアが、名盤「TCB」の前に吹き込んだ初リーダー作が、昨年CD化されました。Kenny Wheeler(flg),John Taylor(p),Harry Miller(b),そしてTony Oxley(d)が参加した、クィンテット編成です。「ヨーロッパのジャズ・ディスク1800」によれば、「隅々まで神経が行き届き、透明感のあるクールなフィーリングと知性が根底にある演奏」とのことです。
強い悲しみの世界を描き出す力に、圧倒される作品です。特に1曲目のタイトル曲。ピアノが背景を描き出し、フリューゲルホーンがアクセントを加え、そしてテナー・サックスが心を加えていく展開。オイルが入った水槽越しに抽象画を眺めている気分です。揺れ動く不思議な感じが保たれたまま、全6曲が演奏されていきます。