楽器が出来なくて音楽が楽しめるかとか、音楽理論が分からないのにごたごた言うなとか、演奏派の人から見た聴き専門派への意見を、web上の掲示板で時折り目にします。聴き専門派の僕としては反発を覚えながらも、理論が分かっていれば、もっと違った聴き方があるのかとも思ってしまいます。
さて本題ですが、本日取上げる作品のタイトル「Lucidarium」は、和声の理論書のことだそうです。マルシェットという方が、1309年から1318年にかけて表したもので、和声を論述した最初の理論書だそうです。web上で調べたことを書いてますが、ここまでなら理解できます。しかしその後の、「c♯からdへのステップは全音程の1/5以下に過ぎない」の件は、理論皆無の僕には外国語と言える物になっております。
スティーブ・コールマンの1985年録音盤を久し振りに聴いて、彼の最新の作品を買ってみたくなりました。その作品がこの盤で、総勢19人が参加している作品です。
聴き始めてからブックレットをチラッと読んだのですが、「Lucidarium」は違う意味かもしれない。「Lucidarium is Latin for 'Bright of Light'」と書いてある。それならばと「Bright of Light」をそのままの意味で考えればいいのかと思いながらも、さらにネットで調べたら、ロール・プレイング・ゲームのページが多数ヒットした。これ以上は無駄だと思い、神経を音楽に集中。
「Bright of Light」の意味付けは分からなかったが、この作品の一つのポイントは、主導権の動き方であろう。強力なベース2本の演奏がリード役を務めているかと思えば、違う曲では6人コーラスがそれを担っている。この流れの中で、コールマンのアルト・サックスを含んだ6管が、縦横無尽の演奏を繰り返す。この両者の空間に身を浸して、この作品の流れを楽しんだ。
6人コーラスの中に、Kyoko Kitamura という方が加わっている。勝手に顔を想像しながら、この作品を再び聴く機会とはどんな時だろうと考えた。