2005年4月12日掲載
Ralph Peterson      The Fo'tet Augmented
Criss Cross原盤      2003年12月録音

 ドラム奏者のラルフ・ピーターソンに関して、このコーナーで何度か話題にしたことがありますが、彼のリーダー作を取上げるのは、初めてということになります。

 クィンテットでの録音ですが、参加メンバーで興味を引くのが、クラリネット奏者のドン・バイロンです。かつてバイロンの1999年録音のリーダー作を取上げたのですが、気に入った内容でした。その後このコーナーでバイロンに触れることは無かったのですが、この作品へのサイド参加で久し振りの出会いとなりました。

 他にはヴァイヴとパーカッションが入っております。

20050412

 ドン・バイロンのクラリネットとブライアン・キャロットのヴァイヴが、タンポポが舞うように浮遊している。その舞う先は常に変わっていそうで、しっかりと決まっていそうで、楽しげな舞である。この二人がメインであったら中途半端な内容なのだろうが、ラルフのドラムがビシッと決めている。ラルフが風を送り込み、それに合わせてバイロンとキャロットが舞っているのだ。この3人の演奏が重なる場面では、3人がそれぞれソロ演奏を行っているように感じる。それでいて、一体感があるのがお見事。この3人の空気感を楽しむ作品である。ほぼ全てがラルフ作の曲だが、1曲だけビリー・ストレイホーンの曲が入っている。しかし、どれもが同一コンセプトで書かれた曲に感じてしまう。ここが、3人が作り出した空気感の強さを物語っている。