2000年1月7日掲載
Don Byron     Romance with the Unseen
Blue Note原盤  1999年3月録音

 クラリネット奏者のドン・バイロンの作品です。彼については資料がなく、そしてリーダー作を聴いたことがないので、経歴等について触れることが出来ません。 1991年と1992年にマレイのビッグ・バンドに参加したのが唯一知っていることですが、 ソロ演奏はあまり無かったですね。またそこでは、バリトン・サックスも吹いてましたよ。 ビル・フリーゼル(g)、ジャック・デジョネット(d)という実力者に、ドリュー・グレス(b) が加わっている、ピアノレス・クァルテット編成の作品です。渋谷のジャズ屋さんで、 売れ残った新譜として千円で売っていたので買いましたが、彼のオリジナルを中心とし たこの作品が拾い物であることを、祈ります。

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 難解な演奏かなという気持があったのですが、大ハズレ。スィングしまくってますよ。フリーゼルとバイロンの息が、 日向ぼっこをしているかの気持ち良さを漂わせて、ピッタリと合っています。エリントン作の“a mural from two perspectives”での演奏は、この楽しさを凝縮していますね。 ビートルズの“I'll follow the sun”まで取り上げています。フリーってる演奏もありますが、これまた良い気分でっせ。その中で“homesong”は、神秘的なメロディで落ち着いた演奏。そこでのクラリネットとギターの静かなる、そして見えない火花を飛ばすぶつかり合いが、この作品の白眉になっています。幾つもの顔を見せるバイロンの演奏、 そしてこの作品は、もう少し話題になってもいいと思うのですがね。