2005年2月16日掲載
Branford Marsalis      Eternal
Marsalis Music原盤     2003年10月録音

 ブランフォード・マルサリスの作品を買うのは、本当に久し振りのことです。1980年代の、SJ紙上で新伝承派などと言われていた時代の作品を数枚持っており、その中の2枚はかつてここで取上げました。

 この作品は、2004年の話題盤であるのは間違い無しですね。テナー・サックス奏者の全編バラッド集ということで、アレキサンダーのそれと共に、注目を浴びておりました。一緒に録音に臨んだメンバーは、ジョーイ・カルデラッツォ(p),エリック・リービス(b),ジェフ”テイン”ワッツ(d)であります。カルデラッツォは僕には余り縁の無かったピアニストでしたが、1990年代から精力的な活動をしている方のようです。

 2004年末の渋谷ジャロ店において、輸入新譜売れ残りで処分セールされていたので、購入となった作品です。

20050216

 薄暗く静寂が支配している空間に、時折り微かに暖かい風が、これ以上ゆったりした速さは無いと思うほどのじれったさで流れていく。こんな気分に浸った60分でした。

 その微かに暖かい風は、ブランフォードのサックスが主であるが、時にはバックのメンバーであったりします。ブランフォードの悠然と構える落ち着き振りに触れ、僕が知っていた彼からの成熟振りが感じられ、20年近い月日を実感しました。

 この作品は、ブランフォードが作ったレーベルからの発売であり、プロデュースも彼自身であります。間違いなく彼は、大作作りを狙っていたのでしょう。しかし聴く側は、そんな事は考えずに、気軽に聴くと良いと思いますよ。と言うのは、ネットに書かれたこの作品への感想を読んでいると、大作或いは傑作への足りなさを書き連ねたのが、多かったからです。「クレッセントに比べると云々」というのまで、ありましたからね。

 気軽にこの作品の空気感を楽しんでいると、ゆったりとしたマイナーな曲を並べた必然性が理解できます。その意味では、アレキサンダーのバラッド集には、その必然性が希薄だったのでしょうね。