ローマ法王選出方法の名称に関して、多くのジャズ・ページが一斉に同じ反応をしたのも、もう八ヶ月も前のこと。今日取上げる作品の名前については、触れるのは避けておきましょう。
さてこのコーナーでトランペット奏者ブライアン・リンチを取上げるのは、トロンボーン奏者コンラッド・ハーウィッグとのコ・リーダー作品以来のことで、こちらも八ヶ月振りのこと。その作品は、ラテン調でコルトレーンを演奏したものでした。今回のリンチのリーダー作品も、ラテン・ジャズ・セクステットと名付けられたバンドでの演奏です。テナーにRalph Bowen、そしてピアノにLuis Perdomo、パーカッションが加わっての6人編成。リンチのオリジナル曲を中心とした選曲です。
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最初の曲はリンチ作の『tom harrell』。リンチとハレルは10歳の違いがあるのですが、やはりリンチはハレルへの尊敬の念で、この曲を作ったのでしょうか。ハレルは24歳で既に名門ウッディ・ハーマン楽団に所属していたので、リンチ幼少の時分の憧れだったのかもしれません。リンチの演奏スタイルは真っ直ぐに突き進むもので、その意味ではハレルに通じるものがあります。ただリンチの演奏は、真面目さを感じてしまうもの。それが良い方向にでることもあれば、固く感じてしまうこともあります。
この作品でのリンチ曲はあまりパッとせず、逆に他の曲の旋律が耳に残るものになっています。まぁ、『la sitiera』や『liberated brother』のような曲に出会えで良かったですけどね。
演奏内容はラテン風味の真っ直ぐハード・バップもの。恐らくは全曲リンチのアレンジなのでしょうが、飽きの来ない展開はお見事。なかなか楽しめる作品であります。