2005年11月27日掲載
Ann Burton        By Myself Alone
East Wind原盤    1974年4月録音

 「Blue Burton」「Ballads & Burton」の2枚が1970年に国内発売され、アン・バートンは日本で人気者になりました。
 その人気により1973年に初来日したバートンさんは、六本木のミスティでライブ作品を1枚吹き込んだのでした。

 翌年にも再来日した彼女は、今度はスタジオ録音を行ったのです。二日間かけて青山のビクター・スタジオで録音が行われ、そのメンバーは次の通り、全て日本人でありました。共通なのは、宮沢昭(ts),稲葉国光(b),そして小津昌彦(d)の3人。この3人に加えて初日には、佐藤充彦(p)と中牟礼貞則(g)が加わっての、クィンテット編成。二日目には小川俊彦(p)が加わっての、クァルテット編成でのバック陣でありました。

 実はバートンさんは、ニコ・ビューニンというピアニストと一緒に来日していたのでした。しかし音楽面での意見の食い違いから、バートンさんはこのピアニストを帰国させてしまったのです。普段は実に優しいバートンさんですが、音楽面では一切の妥協を許さなかったとか。

 そんなバートンさんと日本人メンバーとの作品であります。

20051127

 「Blue Burton」と「Ballads & Burton」からコクが少しなくなり貫禄が加わった、バートンさんの歌声。バートンさんの歌に掛ける思いが強く伝わってくる点は、一切の変わりなし。この年の日本でのライブで歌い込んだ曲ばかりだけに、完全に自分のものにしております。

 ビートルズのイエスタデイとジェローム・カーンのイエスタデイズをメドレーで歌う内容は、他の歌手でも行っていること。しかしバートンさんのそれでは、必然的に2曲を結びつけた説得力がありました。このセンスと思いが、この盤の随所に表れており、それがこの盤を永久のものにしているのでしょう。バックとの意気も良く合っており、常にそばにおいておく作品と言えるでしょう。