2005年10月25日掲載
George Robert & Kenny Barron    Peace
DIW原盤       2002年8月録音

 「平和」と題されたこの作品のジャケットは、Tsutomu Takahashi さんのものと、クレジットされています。早速、ネット検索を行ったところ、先ず高橋務氏であろうと推測しました。他の高橋ツトム氏も美術系なのですが、路線は違うもの。しかし高橋務氏とて、この「平和」のジャケットに描かれたモノトーン調の森の風景は、氏のページに掲載されている諸作とは、少し趣が違うもの。もう少し色を使っているのが、氏の作風なのです。恐らくは、「平和」というお題だと、普段と違う趣になってしまったのでは。

 さてこの「平和」、ジョルジュ・ロベールとケニー・バロンのデュオ作です。今までのクァルテットやクィンテットでの演奏と、どのような変化があるのでしょうか。

20051025

 サックスとピアノのデュオ作品をこのコーナーでは、マレイ関連で数枚取上げてきました。例えば、デイブ・バレルとの「Brother to Brother」では、お互いの高い個性がぶつかり合いながら、楽器二つが融合し、素晴らしい演奏となっております。

 かたやこのロベールとバロンのデュオ作では、サックスとピアノの融合による重厚さがそびえ立ち、そこから二人の個性が発揮されている感じであります。この聴き比べから、ジャズ・マンの演奏タイプの違いがはっきりと分かり、改めてジャズの楽しさを体感しました。

 さてロベールとバロンの重厚さですが、至極の重厚さであります。これはジュネーブのホールでの70分近い演奏なのですが、デュオで一気に聴かせる力量はさすがのもの。二人で熟考した大木があり、二人のソロはその大木に適度な揺らぎを与えるもの。個人の好みで言えば、強烈にぶつかり合い、相手のパンチを受けながらパンチを繰り出していく、マレイとバレルのデュオの方が好きです。しかしロベールとバロンの重厚さは、これまた格別なものでありました。