2004年6月1日掲載
Dexter Gordon      Our Man In Paris
Blue Note原盤        1963年5月録音

 デクスターが欧州に移ってから初めてBNために吹き込んだ作品であり、デクスターの最高傑作と言われている作品です。

 ピアノにはパウエルが参加しておりますが、当初の予定はケニー・ドリューだったとのこと。デクスターとしては欧州新境地を全曲自作で固めようと、構想を練っていたそうです。しかし何らかの事情によって、パウエルが代役となったのです。

 この時期のパウエルの様子は、フランシス秘蔵録音をここで紹介した際に、少しだけ触れておりますが、全曲新作などはパウエルには無理であることは誰でも理解していたこと。そこで急遽スタンダード集となったのです。 ピエール・ミシュロ(b),ケニー・クラーク(d)との録音です。

20040601

 久し振りにこれを聴きながら思ったことを、いくつか書きます。

 これを買ったのは、1986年7月のこと。BNのCD化を、東芝EMIが本格的に開始した時のこと。今では、もっと音質の良い盤があるのでしょう。

 でも、そんな思いを払拭するかの、ゴードンの熱演ですね。LPで言うところのA面の、「scrapple from the apple」「willow weep for me」の展開は、ワン・ホーン作品の極み。

 ロリンズに影響を与えたゴードンなのですが、その後はロリンズから影響を受けていたことを、油井さんがあるエピソードを添えて書いております。ゴリゴリ押しながら華麗に演奏する醍醐味が、最良の形で現れております。

 そのゴードンの影でパウエルの姿が薄くなっているのですが、そこはそこで聴かせ所はありますよ。

 この作品に限っては、何故に実家の隅に追いやってしまったのかが、全く想像出来ないのです。