コルトレーン大好きの人間なのに何故ファラオ・サンダースの作品をそんなに持っていないのかと言えば、理由は3つでしょうかね。先ずは、コルトレーンそっくり。次に、晩期コルトレーンの神懸り傾向を、ファラオは拡大解釈してしまったかの印象。最後に、バラッドを歌い上げて一般受けを志向かのように感じ、少し距離を置いたこと。こんなところでしょうかね。神懸り傾向については、「tauhid」なんていうのを、このコーナーで取り上げました。
そんな中で、彼の名盤「live...」に漸く接したのが、去年のこと。
その時の印象から、この時期のファラオは自身の姿をはっきりと表しており、聴き応えあるのではないかと、思ったのです。そして、「live...」を復刻した Evidence から発売されているファラオの他の作品を一気に購入したのです。
その8枚を続けて取り上げていきますが、少し僕に誤解があったもよう。Evidence は復刻ばかりではなく、このレーベル自らの制作盤の方が多いようです。また、国内でも最近多数発売されていたとか。
さて最初に取り上げるのは、エド・ケリーというピアニストとのコ・リーダー作。
これには、分からない点が二つあり。エド・ケリーって誰なの。持っている書物からも、webページを検索しても、情報を得られなかった。
次に、録音日。1978年12月に6曲、そして1992年9月の5曲がファラオ抜きで吹き込まれている。普通なら、間隔空き過ぎだよね。想像出来ることは、1978年の6曲で最初にLP発売。1992年にCD化する際に、追加で吹き込みということ。まぁ、国内盤ならば、この2点を解説してくれているのでしょう。
1978年12月はクァルテットでの録音。1992年9月は、テナー&トランペット入りクィンテットで2曲、エド・ケリーのソロで3曲吹き込まれております。
1曲目が始まった途端にギターの音。おやっと思い、クレジットを読み返せば、曲によりストリングス等が入っているのだ。まぁ、そんなに気になる存在ではなく、色添え程度のストリングスです。
で1曲目のケリー作の「rainbow song」でのファラオは、ミディアム・テンポの曲を、爽快に演奏しており、爽やかな気分。アドリブは殆ど吹いていないけどね。2曲目のファラオ作の「newborn」では、激しく情熱的に吹きまくるファラオあり。しかし、その中にも清清しさが感じられる。これは「live...」に通じていくものである。次の曲はファラオとケリーのデュオだが、爽快&清清しさ吹き込みが絶好調であり、1980年代のアダムスのような感じ。まぁ、ファラオが大先輩なのだがね。
そんな絶好調ファラオに対して、ケリーさんはモンクのタッチにウィントン・ケリーのメロディ感を加えた感じの演奏で、僕好みです。1992年の演奏でそんなケリーをじっくり聴けるかと思ったのですが、14年の歳月なのか、随分考え込んだ演奏に聴こえてしまった。
そんな風に聴き終えた1枚でありますが、アルバムの統一感は薄いものの、手ごたえは十分な作品であります。