2004年3月22日掲載
Dizzy Reece         Asia Minor
New Jazz原盤     1962年3月録音

 かつてディジー・リースの特集を組もうとして頓挫した話は、彼のロンドンでの吹き込みを取り上げた際に、書きました。

 そこでは触れなかったのですが、僕が何故リースに興味を持ったかと言えば、ジャズ聴き始めからお世話になっている渋谷ジャロさんの店主の影響からです。

 当時はブルーノートの発売権利がキングから東芝EMIに移った時期であり、東芝EMIの行方さんがBN1500番台を番号順に発売するという快挙を行った時期だったのです。その1500番台の後半にルイ・スミスの2作があり、それを購入した際に、ジャロさんから「ブルーノートのトランペッターと言えば、このスミスとディジー・リースが良いよね」と教えて頂いたのです。

 キングから発売された作品は音質が良いということで、ジャロさんでは問屋から各地で売れ残っているキングBN盤を回してもらっていたようで、その中にBN4000番台の「ブルース・イン・トリニティ」がありました。先ほどの言葉を聴いた直後に、この「ブルース・イン・トリニティ」を購入したのは言うまでもありません。

 さらに続けてのジャロさんの言葉によれば、「リースのBNへの残り2作は直に発売されるだろうけど、ニュー・ジャズに残したアジア・マイナーは難しいだろうな。権利を持っているビクターはジャズに熱意が無いようだからね。」とのこと。それを聴いた僕は、当時ビクターが行っていた発売リクエスト投票に、リース盤を何度も要求したものでした。

 そして漸くビクターがこの盤をCDで発売したのは、そんなことから8年経っていた1992年のことであり、既に東芝EMIがBN4000番台の残りの2枚も発売して6年が経っていた時期だったのです。

 BNの録音から2年後のもので、ジョー・ファレル(ts,fl),セシル・ペイン(bs)との3管編成の内容。リズムはハンク・ジョーンズ(p),ロン・カーター(b),チャーリー・パーシップ(d)であります。

20040322

 アジアの範囲を明確に示したwebページが見つからなかったのですが、西はイランまでがその範囲なのでしょうか。文化は宗教と密接なことを考えれば、イスラム文化と仏教文化が、アジア文化の中心と言えるのでしょう。

 幸いにして、香港とペナンで生活した僕には、この二つの文化が根ざした地で生活したと言えるのですが、その文化に大きく触れた言えないのがもどかしいところです。

 さて、この作品は、アジアをイメージした短調曲集。当然ながら外部からのアジアのイメージなのですが、モノ悲しさ漂う中に微かに浮かぶ笑みがそのイメージなのかと、思った次第です。なにか、イスラム系の雰囲気を浮かびだしたのかとも、思いました。

 そんなイメージの中で、3管の迫力が素晴らしい。それぞれのカラーが、6曲の中で、色鮮やかに混ざり合っていく展開です。リースのトランペットの心への染入り方は、感動モノ。

 日本で、そして世界でもっと語られて良い作品でありますね。