2004年11月30日掲載
Paulien van Schaik     in Summer
Challenge原盤             2003年8月録音

 この作品は、ハイブリッド盤、つまりSACDでありながらCDも聴ける盤であります。この盤のSACDはステレオのみの収録のようですが、構造からすれば5.1チャンネルも入れられるのです。

 CDの規格が作られた25年ほど前に比べて、SACD規格が作られた7年程前には、比較にならないデータ量を入れられる技術になっていたということです。何でもSACDの規格が作る委員会に、オーディオ評論家の菅野氏が参加していたのですが、そこでSACD盤の大きさが話題になったとか。CDの四分の一ほどの大きさが提案されたらしいのです。その大きさで、十分らしかったようです。しかし菅野氏は大反対。その理由は、パッケージ・メディアの体裁を保てないからとのこと。その菅野氏の意見には、僕も賛成です。今のCDサイズの決定過程は周知のことですが、ジャケットの存在を感じさせるには、ギリギリの大きさですよね。

 話を今日取り上げる盤に戻しましょう。多分オランダの女性歌手であるPaulien van Schaik さんであります。この方についてネットで調べたところ、1999年録音のベース奏者とのデュオ盤『tenderly』が、女性ヴォーカル好きの間で当時話題になったとのこと。今日取り上げる盤は、ベースとトランペットとの3人での吹き込みであります。ベースは『tenderly』と同様に Hein Van De Geyn で、トランペットはBert Joris であります。

 と書きながら思い出したのが、先日取り上げた Hilde Vanhove さんの『Insense』であります。この盤にも、 Hein Van De Geyn と Bert Joris が参加しており、良い演奏を聴かせていました。スタンダードを取り上げている作品です。

20041130

 可愛い系だが色気加わって、気に入った歌声です。ベースとの息は、長く活動を共にしているだけあって、お互いの特徴を活かしあっているもの。トランペットは、上手いタイミングで良いフレーズをだしています。変則トリオだけに心配しましたが、この編成にした意味合いは、十分に感じました。見た目不安定だが、安心感を感じさせる歌+演奏を繰り広げ、しかし危なっかしさも出して、飽きさせない内容とするものですね。それを成り立たせている要因の一つが、録音の良さ。折角SACDでも聴けるので、我が装置もそろそろ手を加えましょうかね。