最近のラヴァ、って言っても昔のラヴァに明るい訳ではありませんが、このコーナーで取り上げたラヴァの作品は美しさがキーワード。1996年に日本の会社が製作した作品は、美しさが甘ったるさになってしまった悪い例。
1999年にヨーロッパで製作されたトマソとの映画音楽を扱った協同作品は、美しさに緊張感が加わり素敵な展開になった例。
今回のこの作品、ピアノのMichael Flugelをフューチャーしアルトが加わったクインテットでの録音なのですが、美しさがキーワードなのでしょうか。だとしたら、どっちにラヴァのペットは転んでいるのでしょうか。楽しみです。
ラヴァ作のバラッド「diva」がミドル・テンポで演奏されたスタートであるが、ラヴァの情熱的なトランペットにあっという間の9分間。アルト・サックスとピアノの好演も加わり、息もつかせぬ展開。
続く「my funny valentine」ではアルトが休み、ラヴァのトランペットをたっぷりと聴ける10分間。お馴染みのメロディに感情の移り方を、情熱を抑えながらも抑えきれぬほどのラヴァの意気込みを、いやというほど味わえます。
続くレゲエっぽいアレンジで披露された「you don't know what love is」での展開も、ラヴァの情熱に驚く内容。
以前ここで取り上げた2枚との差に驚いたが、考えてみたら以前取り上げた2枚は企画もの。ラヴァの思いのままに演奏させれば、そしてライブという要素が加われば、ラヴァはこの作品で聴けるような情熱的なトランペッターなのであろう。