2001年10月29日掲載
Enrico Rava      Italian Ballads
Venus原盤       1996年3月録音

 1960年代のイタリア・ジャズ界を語る上で欠く事の出来ないトランペッターであるエンリコ・ラヴァについては、リーダー作をここで取り上げるのは初めてですが、サイドで参加した作品でその演奏に付いては書いてきました。1970年代半ばに“グローブ・ユニティ・オーケストラ”に参加した辺りのラヴァが絶頂期だと思うのですが、革新性・叙情性・パッションがブレンドした独特のスタイルというのが、世間での評価のようです。

 今日取り上げる作品は日本のヴィーナスが持ちかけた企画であり、イタリアのバラッドを集めた作品です。彼の独特のスタイルが、バラッドを通して、50台前半という円熟期にどのような展開を見せているかが楽しみです。

20011029

 これは国内盤だから帯が付いているのですが、そこには「ファンタスティックでおしゃれなジャズの・・・」との謳い文句。内容も正にその通り。お洒落なカフェのBGM。おいラヴァよ、かつての革新性はどこ行ったのだと、問い詰めたい内容です。かつてのラヴァの魅力である革新性・叙情性・パッションの内、叙情性だけが拡大された演奏です。1990年代には他にも企画ものが多いようですが、どれもこんな内容だろうな。