欧州の人名発音は難しく、何度かこのコーナーで恥を晒してきましたが、このリーナ・ニーベリさんもそんな一人ですな。かつて取り上げた1998年録音の「:open」に僕は、ライナ・ナイバーグさんと書いてしまったんだ。8月下旬の帰国前にSJ誌を読み返してこの盤を渋谷ジャロさんに注文したのだが、かつて取り上げていたことをすっかり忘れていた。だってね、顔が違うんだよね。5年の歳月では説明出来ない違いなんだけど、同一人物なのは確かな事。
このリーナさんは、1970年スウェーデン生まれで、両親とも画家。そしてお母さがジャズ・ファンとのことで、14歳の時から母親のコレクションからマイルスやパーカーを引っ張り出して聴いていたそうです。
1990年代中盤にプロ歌手になり、この作品が9作目だそうですが、これまでは詩を大切に少し難解な作品を吹き込んできたとの事。
僕が「:open」を取り上げた際には、自作曲中心で曲が弱すぎると書いた。今回は1曲を除いてスタンダードなので、曲の面では安心出来ますね。
さて、今回の作品は日本のスパイス・オブ・ライフって会社が製作しており、プロデューサーは森泰人。バック・ミュージュシャンはこの森さんがベースを弾いており、ピアノに「:open」にも参加しているアンダーシュ・パーションが参加している作品です。
気品ある歌声が、時にはガラス・ケースに収められて近寄りがたく感じ、時にはテーブルを挟んで直ぐ傍にいる親近感に満ちたものに感じるな。好きになるか忘れ去る歌手になるか、何とも言えない。
ベースとドラムがバックというのは、この盤としては成功。しかし次は、サックス入りクァルテットをバックにして欲しい。そして、彼女の明るいタッチの歌い方が引き出せる演奏ならば、好盤が出来るはず。曲は、自作を避けるべき。