2003年10月21日掲載
Carla Helmbrecht         One for my baby
street sweepers原盤   1994年録音

 カーラ・ヘルムブレヒトさんは、アメリカのウイスコンシン州生まれ。彼女の2作目が昨年ガッツプロより紹介され、好評だったとか。その勢いで、1994年に発売された作品がガッツプロより日本で発売されることになり、僕の手元にきた次第。

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 想像だけどこのレーベルは、50歳でリタイアした小金持ちのジャズ・マニアが趣味でやっているのではいなか。ジャズ・クラブで歌っていたカーラさんを観たこの小金持ちは、ハスキーでため息調の低音に色気がある歌い方にぞっこんになり、レコーディングの機会を与えたのでは。

 しかし、単なるジャズ・マニアの小金持ち。全てをカーラさんと若いミュージュシャンに任せたのだ。ジャズに情熱を持っているが、経験に乏しいカーラさんご一行は、有名なスタンダードを選び、過去に聴いた事のあるようなアレンジを施して録音。

 小金持ちは出来に満足し2000枚プリントし、ディストリビューション会社に任せて発売。しかし世の中甘くなく、身内が100枚買い、400枚ほど新譜好きが買い、500枚ほど海外に渡り、1000枚の在庫を抱えていたのでは。


 聴いていて勝手にこんな絵を想像したが、ストレートに真摯に取り組んでいる様子が伺え、微笑ましい好盤である。何の作戦も持たずに望んでいるのが良い。1000枚の在庫にもめげずにカーラさんは頑張り、2作目の録音機会を得た。それがなければ、この盤は完全に埋もれていたであろう。

 何事も、自分を信じて頑張るのだ。と勝手なことを思っている僕であるが、エラの有名曲「ドリーム・ア・リトル・ドリーム・オブ・ミー」を抜群の編曲とぞくぞくするような歌声で決めている本盤に出会えて、幸福な気分に浸れました。