録音時点ではヘインズ御大は77歳である。言うまでもなく長い活動暦のヘインズにとってのピークは、1950年代から1960年代半ばまである。自身の勢いと時代の勢いがマッチしていた良き時代をヘインズは過ごしたわけであり、このコーナーでもそんな時代の作品を3枚ほど取り上げてきた。
ドラムという体力がいる楽器を操りながら70歳代になっても元気なヘインズの様子については、1999年録音の「The Roy Haynes Trio」という作品をここで取り上げ、その元気振りに驚かされたものである。
それから3年後の録音の本作品、2パターンの編成で吹き込まれている。ジョシュア・レッドマン,バロン,クリスチャン・マクブライドからなるテナー・ワン・ホーン編成。そしてジョン・スコ,デヴィッド・キコスキー,デイブ・ホランドからなるギター入りクァルテットでの録音の2種類だ。
日本帰国前に渋谷ジャロさんにCDを注文した際には、過去半年分のSJから様々な情報を得て行った。半年振りの帰国でしたからね。このヘインズの作品を選んだ理由は、読んだ評価が分かれていたため、何としても自分でジャッジしようという不埒なものである。SJはディスク・レビューであったため提灯記事であったが、ステレオ・サウンドではその録音評価が割れていたんだ。
で、僕の感想は、薄っぺらな録音ってもの。またヘインズの演奏からは力強さが抜け、味だけが微かに残った内容であり、軽快なペースで行われている。豪華な参加ミュージシャンは、御大のペースに合わせようとひたすら軽快に。
御大が昔を思い返したような「アフロ・ブルー」だけが素敵に響いた1枚でした。