ベテラン・ドラマーのロイ・ヘインズが、ピアノとベースで吹き込んだトリオ作品です。1958年にフィニアス・ニューボーンと吹き込んだ「ウィ・スリー」、1960年にリチャード・ワイアンズと吹き込んだ「ジャスト・アス」という2作品を、トリオっていうフォーマットのヘインズと聞けば誰でも思い浮かべることでしょう。今回彼が選んだピアニストは、Danilo Perez。ベースにジョン・パティチュッチを入れて、スタジオ録音とライブ録音で構成されています。
「ベースとドラムでピアノ・トリオを聴け」と力説されているお方がおりますが、この作品は嫌でもドラムとベースで聴いてしまう作品です。この録音の時点でヘインズは73歳なのですが、そんなことを忘れさせる怒号の演奏と、それを迎え撃つパティチュッチのベースも凄まじい出来です。バッキングでどれだけの味を出すかが通常のドラムがリーダーのピアノ・トリオ作品の聴き所の一つですが、ここでは完全に主になっています。さてピアノなのですが、欧州系にモンクを投入した感じ。あくまで色添え的展開が多いので目立ちませんが、「prelude to a kiss」で特徴を発揮していますよ。アグレッシブなドラミングのスタジオ編、華麗なドラミングのライブ編となっています。