安定していた収入を得られる活動を止め、1955年からチコ・ハミルトン(d)は自分のクインテットで活動していきまいした。その最初の頃の作品「in hi fi」は以前ここで取上げました。
それから4年後に、エリントン集を作りました。メンバーは「in hi fi」での4人に加えてポール・ホーン(fl,ts)が参加しております。
さて僕が持っているのは、1988年に国内発売されたCD。オリジナルに加え3曲追加されており、そちらのメンバーは、ドルフィー(as),ネイト・ガーシュマン(cello),ハル・ゲイラー(b),ジョン・ピサノ(g)という面々であり、同じくエリントンの曲を取上げています。録音は本編より1年前のもの。どうやらボツになった演奏のよう。僕は追加3曲の存在だけで、14年前に買った作品です。
平均3分の演奏時間、全てがアレンジされており、アドリブ一切無し。しかし、これはこれで良いのだ。クールな演奏を聴きたい時にうってつけの作品で、「室内楽ジャズ」という表現がピッタリの内容。
さて、ドルフィーの方。何か、演奏の終わり方が中途半端なのが気になるが、ドルフィーは自作でのエネルギッシュは抑えており、ハミルトンの意向を踏まえた演奏ですよ。その上で、独特のアルトの音色が「室内楽ジャズ」にスパイスを加えており、ドルフィーの貴重な演奏と言えます。
本編は素晴らしいので、ドルフィー版も曲数や演奏時間等をキチンと吹き込んでいれば、「裏エリントン集」として人気を集めたと思うけどね。