エルヴィン・ジョーンズが黄金クァルテット在籍中に吹き込んだコルトレーンへ捧げる作品です。マリアーノ(as),ハナ(p),ハンク・ジョーンズ(p),リチャード・デイヴィス(b)とのクァルテット作品です。
不思議なのはこのメンバー。マリアーノとハナは、コルトレーンとの競演歴無し。ハンクにしたって、アトランティックの「&ミルト・ジャクソン」録音での1日だけのお付き合い。
そして、収録曲も悩ましいもの。9曲中コルトレーンが吹き込んだことのある曲は「フィーリング・グッド」だけ。タイトル曲の作者には、この作品のプロデューサーであるボブ・シールクレジットされていることを変に考えれば、旬な内にコルトレーンの名前を使って一儲けということでしょうかね。
前半3曲がハナ、半ばの3曲がピアノ・レス、後半3曲ハンクとなっている構成。
前半3曲、兎に角演奏を支配しているのは、ベース。黄金クァルテットとは違って、力強い演奏ではありながら、口ずさむような軽やかさ。このベースは、ピアノ・レスでは一層光るだろと睨んでいたら、その通り。特に「everything happen to me」のベースの輝きに聞き惚れながら、エルヴィンのブラシの冴え渡りも感心。その後のベース・ソロはこの作品の白眉になっております。
黄金クァルテットを支えているギャリソンとエルヴィン、自分達のやりたい別の姿、寛いだ演奏を模索した作品と言えるでしょう。その意味では、マリアーノはその姿への橋渡し役ですね。
またこの作品、買ったのは多分7年ほど前のことで、今回聴いたのは7年振り。以前と大きく印象の違うのは、今春買い換えたオーディオによるところでしょう。今のスピーカー(N804)は、強力なウーハーを持っているが、その分アンプに実質のパワーを要求してしまいます。高価格に悩んだマークレヴィンソンですが、購入してよかったことを再確認した盤でした。