11人のジャズ・ミュージュシャンの曲を取り上げた作品なのですが、タイトルを見て誰の作品か分かったのは半部以下というのが、僕の成績でした。さて、この作品は白人ギタリストのサル・サルヴァドールが1950年代にベツレヘムに残した3枚のリーダー作の一つです。このコーナーでは他の2枚の中の「frivolous sal」を、以前に取り上げましたね。その時と同様に今回も、ピアノとヴァイブのエディ・コスタが参加している、クァルテット編成の作品です。
ベースで参加しているフランク・ダラス、ソニー・ダラスという名前でも通っているそうだが、1950年代に数多くの作品にサイド参加しているとは言え、記憶に残るミュージュシャンではないね。しかしこの作品ではダラスのベースが、力強くリズミカルに全体を支配していますぞ。
それに乗ってのサルとエディ。美しいのだ。綺麗な演奏が、心に焼きつきます。エリントンの曲も良かったが、今回印象深かったのは、デイブ・ブルーベック作の「イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ」。ブルーベックの演奏には興味がないが、マイルスの名高きマラソン・セッションの最初に演奏された名曲として、僕の中に叩き込まれているものだ。マイルスのミュートよりこの作品の方が美しいなどとは言えないが、僕の中にこの曲の名演として残っていく出来になっています。