1999年9月10日掲載
Sal Salvador       frivolous sal
Bethlehem原盤      1956年2月録音

 ギタリストのサル・サルバドール、ジャズ・ファンなら名前は知っているが、彼の作品が愛聴盤である人っていうのは少ないのではないかな。1950年代に活躍したギタリストは多かれ少なかれチャーリー・クリスチャンの影響を受けているわけで、その中でサルは他のギタリストに比べ強烈な個性に乏しいため、一般受けしていないようですね。この作品は、中・低音域に独特な個性を発揮するピアニストでありヴァイブも演奏するエディ・コスタが参加している、クァルテット作品です。この二人の取り合せは実に興味津々のものですよね。このお膳立てを整えたプロデューサーは良いセンスだと思いますが、果たしてその中身はいかがでしょうか。

19990910

 真っ正直に、シンプルに、スィング感 豊かにメロディを、サルのギターは奏でていますよ。確かに派手さは無いけれど、落ち着 いて聴けるギターです。準主役のコスタは、この翌年にはニューポート・ジャズ・フェス ティヴァルで絶賛を浴び、またダウン・ビートでピアノとヴァイブでポール・ウィナーを獲得する活躍を見せたのですが、ここでも聴き所を随所に用意してくれてます。しかし、サルのギターを引き立てる立場をわきまえてなのか、少し控えめなのが残念ですがね。 この二人の光るプレーを聴ける曲は、“all the things you are”です。氷の響きのようなヴァイブと中音が駆けずり回るピアノに対して、サルのリズムに乗ったギターが、この名曲を舞台に踊っています。