2001年8月13日掲載
Charlie Pership      and the Jazz Statesmen
Bethlehem原盤     1960年4月録音

 マレーシアでは、海外からの引越荷物は税関で必ず詳細な中身の検査を受けます。僕は船便でCDを約1,500枚持ってきたのですが、税関検査で抜き取られるのが恐くて、検査に立ち会ったのです。多数のCDに対して販売目的との疑いをかけられないかと思っていたのですが、数枚抜き取っては中身がDVD等の映像物ではないことを確認しただけでした。その時税関検査官が抜き取った1枚が、この作品です。

 1950年代の数々の名盤に参加してきたパーシップが、笑みを浮かべながらポーズを決めているジャケットが、印象的でした。数々のセッションで活躍していた彼が、1950年代後半には「ジャズ・ステイツメン」というコンボを率いていたのは、あまり知られていないのでは。

 フレディ・ハバード(tp),マーカス・ベルグレイブ(tp),ローランド・アレキサンダー(ts),ロニー・マシューズ(p),ロン・カーター(b)という、当時ジャズ界に登場し始めたばかりの若手を集めてのレコーディングです。

20010813

 チャーリー・パーシップはジュリアード音楽院で学理を学んだそうだ。そしてこの作品のプロデューサーは、テディ・チャールスだ。この2点から想像し得ることは、何か新しいことをやってやろうとする流れ。大概ジャズの場合、失敗することが多いよね。

 でもこの盤、そんな心配はご無用。目玉は10分近くの「チャンプ」なのだが、確かに組曲にしておりますが、ジャズの熱さがバッチリでていますよ。パーシップのソロも堪能出来ますしね。アレキサンダーのテナーを筆頭に若手も魅力爆発させていますのも、この作品の魅力。楽しく乗れる「ライト・ダウン・フロント」で、若手の勢いが飛び散っています。通関検査で盗られなくてよかったとの思いになった作品です。