2001年7月23日掲載
Bennie Green with Art Farmer
Prestige原盤      1956年4月録音

 トロンボーンの魅力といえば、何であろう。他の管楽器に比べて刺激的ではなく、目立たない存在ですよね。音色といい、またその構造から目立つ演奏も出来ませんもんね。言い換えれば、ホッとして聴いていられる楽器とも言えるのでしょうか。

 調べてみたらこのコーナーで取り上げたトロンボーン奏者のリーダー作は、7枚(6人)だけ、100枚に1枚っていったとこですね。

 で、その一人ベニー・グリーン、プレスティッジからに1955年に吹き込んだ作品は以前に取り上げましたが、これはその翌年に吹き込んだものです。Art Farmer(tp), Clif Smalls(p), Addison Farmer(b), Philly Joe Jones(d) というメンバーと吹き込んだ作品です。Addison Farmer はコネ参加としても、Clif Smallsというピアニストは初耳、って言うか全く印象無し。このピアノ弾きの出来がカギを握るのかな。

20010723

 軽やかにうたう「マイ・ブルー・ヘヴン」、いかす演奏のファーマー作の「スカイコーチ」、ファンキーな魅力たっぷりのスモールス作の「クリフ・ドウエラー」、肌触りのよいフレーズの繋がりが楽しめるグリーン作の「レッツ・ストレッチ」、リリカルなバラッドを聴かせてくれる「風と共に去りぬ」。という具合にグリーンの演奏は魅力たっぷりの内容で、トロンボーンという楽器の魅力を最大限の状態で聴かせてくれる作品です。

 まぁ表現する語句は感覚的なものなのですが、「軽やか」「いかす」「ファンキー」「肌触り」「リリカル」というのが、トロンボーンの魅力だと感じた軽わけですが、当然ながらこの時期のグリーンのような演奏を出来るトロンボーン奏者は、そうはいませんね。

 無名スモールスは良い曲を提供したたでけに止まらず、シングル・トーンの素敵な演奏。選曲の良さと、音色といいフレーズの展開といいグリーンとピッタリのファーマーの好演も合わさって、ハード・バップ期の名盤と言える作品に仕上がっています。