1985年にブルー・ノート・レーベルが復活された際に「ワン・ナイト・ウィズ・ブルー・ノート」というコンサートが行なわれ、ジャズ・メッセンジャースのピアニストとしてウォルター・デイヴィスが参加していたのを懐かしく思い出します。彼は他にも1950年代からガレスピーやドナルド・バード、そしてロリンズなどと共演してきましたが、リーダー作となると数少なく、1959年にBNに吹き込んだ初リーダー作「デイヴィス・カップ」が広く知られている位でしょう。トリオ作品となると1979年に日本製作された「Night Song」が、恐らく初めてでしょう。
今回取り上げる作品は、そのプレス枚数のため発売直後に市場から消えた作品で、1993年にジャズ批評から発売された「ピアノ・トリオ1600」の巻頭カラーで紹介されるまでは、大方のジャズ・ファンにその存在を知られていなかったものです。ケニー・クラーク(d),ピエール・ミシュロ(b)という、晩年のパウエルと活動したミュージュシャンと組んだ作品です。
ファンキーで熱気溢れる演奏というフレーズが当てはまる演奏ですが、これが本当のデイヴィスの姿なのかなと、首を傾げてしまいます。もともと録音が少ない人なので本当の姿というのも表現が難しいですが、僕としてはこの8年後にスティープルチェイスに吹き込んだトリオ作の方を、高く買います。いつかそちらを取り上げますので。それとこの作品、録音レベルが悪いんだ。ドラムの音がやたらデカ過ぎ。当時普及し始めたソニーのデジタル録音機を折角使っているのだから、もう少しなんとかならなかったのかな。;