2001年10月7日掲載
Georges Arvanitas    Round About Midnight
Carrere原盤             1986年録音

 1980年代のアルヴァニタスの素敵な演奏に触れられた作品を以前ここで取り上げましたがが、今日取り上げるのは1980年代のアルヴァニタスの極め付けの1枚と評判の作品です。

 Stephane Persiani(b),Charles Saudrais(d)とのトリオ作品で、表題曲を始めとする有名曲がアルヴァニタスのオリジナルを挟みながら並んでいます。

20011007

 「once I loved」のピアノ・トリオ演奏での、代表バージョンは何であろう。これは、ジョビンの名曲である。悲しい過去を背負った女性の悲しみが漂う、メロディである。幾つものこの曲を取り上げるピアノ・トリオ作品に接してきたが、思い出せないじれったさで一杯である。

 とにかく、代表的名演の一つに、このアルヴァニタスの作品が含まれるのである。全体を通しても心気持ちよく歌っている作品ではあるが、欠点がある。

 ドラムとベースの音色だ。ペタペタした音のドラム、軽くて響き渡ることのないウッド・ベース。録音の問題もあるのであろうが、気に入らない。「Bird of Paradise」でも同様なのであるが、アルヴァニタスの演奏の出来の高さで、気にならなかった。この作品も「once I loved」のレベルの出来の曲が並んでいたら、音色の欠点は気にならなかったのであろう。

 1980年代のアルヴァニタスの代表作品は、世間で言われているこの作品ではなく、「Bird of Paradise」でありますな。