2000年8月7日掲載
Giorgio Azzolini     Tribute To Someone
Ciao Ragazzi原盤   1964年5月録音

 今年の4月にジョルジオ・アゾリーニ(b)の作品を2枚取上げましたが、これはそれより前に吹き込まれた作品で、これまた「イタリア1960年代ジャズの屈指の名演(ジャズ批評)」だそうです。3管入っていまして、フランコ・アンブロセッティ(tp)、ガトー・バルビエリ(ts)、ディノ・ピアナ(tb)です。曲はハンコックやマイルスなどの曲を取上げています。

20000807

 ピアノ・トリオで2曲演奏していまして、1曲がマイルスの「so what」。コルトレーン絡みのマイルスのこの演奏に惚れていまして、4テイク持っています。どれもベースはポール・チェンバースで、あのイントロのベースはそれこそ耳タコです。アゾリーニも「あのベースライン」をここで披露していますが、どうしてもチェンバースと聴き比べてしまいます。力強さは、チェンバース。リズム感もチェンバース。これじゃアゾリーニの完敗じゃないかと書きながら思ったのですが、アゾリーニは引けを取っていない。その要素はと言えば、張り詰めた緊張感と洗練されたセンスです。山口氏がジャズ批評別冊の中で、「欧州ジャズの魅力はテクニックの素晴らしさと、ピーンと張りつめた緊張感」と述べていますが、まさにこれを実感。

 さてホーン、ボントロはどこいったのというのは別にして、アンブロセッティにしてもバルビエリにしても、この時は無名に近い存在なのですが、その後の活躍を予感させる華やかさがあります。バルビエリ作の「ヒロシマ」の曲と二人の演奏の哀しさが、聴き所。ピアノのセラーニに好演も合わさって、欧州ジャズの名盤っていうのを、誰でも実感出来るのでは。