2000年4月7日掲載
Giorgio Azzolini       Crucial Moment
Car Juke Box原盤    1968年6月録音

 この作品はですね、「イタリア1960年代ジャズの屈指の名演(ジャズ批評)」らしいのです。SJに も同様の記述があります。ジョルジオ・アッゾリーニにとってこれが何作目かは知りませんが、僕 にとっては2年前の“what's happening?”の次の作品ということになります。ピアノは2年前に 続きダンドレア。ペットにエンリコ・ラヴァ、ベースにアルド・ロマーノという、今や巨匠と言え る二人が加入しています。考えて見れば、今では4人とも巨匠と言えるのですね。イタリア4巨匠 の若き日の名演が、聴けることでしょう。

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 この作品でこの時期の欧州ジャズ・シーン を語るのは早計でしょうが、アメリカの4ビートを純粋に吸収していた1960年代前半までと 比べて、後半になるとフリーの要素を吸収し始め、そこに欧州ジャズならではの独自性が芽生えて いったのではないのでしょうか。この作品ではアッゾリーニのアルコ弾きを多用した、強力に飛び 回るベースを基礎にして、緊張感溢れる演奏が繰り広げられています。ラヴァのペット、ドン・ チェリーやオーネット・コールマンの強い影響を感じさせますが、その底には4ビート・ジャズの しっかり身につけた演奏です。ダンドレアはここに至ってフリーの要素を自分の中に吸収しており、 自身に満ちた演奏を行なっています。この作品が高い評価を得ているポイントは、美しさと緊張感 でしょう。1970年代になると、欧州ジャズの一つの傾向としてリズムすらとれないド・フリー の嵐が吹き荒れます。しかしこの作品は、ジャズの表現力の一つとして美しさを求め、その手段と してフリーの要素を自分達なりに吸収していき、見事な表現をしています。欧州ジャズが辿り着い た一つのピークが、この作品なのではないでしょうか。