しかしジャケ写が良いね。ブルー・ノート作品のジャケットに数々の写真を撮ってきたフランシス・ウルフなのですが、その中でもこれは上位にランクされる出来です。邦題は「春の如く」、まさにその雰囲気が醸し出されていますね。オルガン、ベース、ドラムとのクァルテットで録音に臨んだアイク・ケベック(ts)、彼はこのタイトル曲のレコーディングを長年望んでいたそうです。
アーシーなブローが魅力的なのですが、決してクサクない。ソウルフルな演奏が苦手な方にも、ケベックのテナーは好かれることでしょう。これはオルガンのフレディ・ローチにも言えてまして、またこの二人のコラボレーションが抜群です。タイトル曲のメロディの優しさがしっかり表現されているのに酔いながら、B面の「lover man」「ol' man river」「willow weep for me」と続く曲配置の良さとその演奏に至極の時間を味わえます。ケベックの最高傑作という評価に、大きく頷ける作品です。