2000年8月31日掲載
Roy Haynes       Cracklin’
New Jazz原盤     1963年4月録音

 この作品が10年前に初めて再発された時、その発売自体がかなり高く評価されました。

 ピアノ・トリオである「ウィ・スリー」と「ジャスト・アス」、ローランド・カークの熱演で知られる「アウト・オブ・ジ・アフタヌーン」の3枚が、ロイ・ヘインズの代表作として有名ですが、この「クラックリン」をヘインズの代表作だとおっしゃる方も多いですね。

 録音に臨んだメンバーは、当時のヘインズのバンドの連中であり、その意味で呼吸はバッチリ合っているのでしょう。ブッカー・アービン(ts),ロニー・マシューズ(p),ラリー・リドレー(b)とのクァルテット編成です。

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 感情が真正面から出るアービンのテナーと、クールに尖ったマシューズのピアノが、A面の3曲でその魅力が花開いています。アービン作の「スクーシー」でのアップ・テンポ、マシューズ作のモード「ドリアン」、美しいバラッド「スケッチ・オブ・メルバ」と続く展開は、名盤の風格を漂わせています。この二人を鼓舞しているのは、もちろんヘインズのドラム。基本的にヘインズはサイドで実力を発揮する人。リーダー作では、いかにメンバーの実力を引き出す演奏が出来るかが、大きなポイントでしょう。その意味で、これは大成功の作品ですね。その中で残念なのは、シャンソンの名曲「アンダー・パリス・スカイズ」。大好きで大いに期待していたのですが、原メロディーの良さに頼っているだけのアービンに、A面での勢いが欲しかったな。