この作品のリーダーのロイ・ヘインズ(d)と、ピアノ・トリオという意味での主役リチャード・ワイアンズ(p)との出会いは、ケニー・バレルのグループでのことでした。フィニアス・ニューボーンをフューチャーしたピアノ・トリオ盤「ウイ・スリー」が大評判になったのですが、その続編というべきこの作品にヘインズがワイアンズを起用したのは、ケニー・バレルのグループでのプレイで気に入ったからでしょう。
洗練されたフィーリングって言うか、無色透明なこの時期のワイアンズのピアノは、共演者による引き立てで、その出来が左右されるのだろうな。ここでは勿論、良い演奏ですよ。ヘインズのでしゃばりはしないが随所に冴え渡ったドラミングが、ワイアンズのピアノを踊らせています。
その意味では、ベースのエディ・ハースも良いね。ハースはインドネシア出身で、オランダで活躍した後アメリカへ渡り、マイルスを初めとする大物ミュージュシャンとの共演を重ねたとのこと。マイルス・バンドのチェンバースの後釜として、交渉を受けたこともあるとか。グイグイ引っ張る彼のベースが、ワイアンズのピアノの発色を鮮やかにさせています。
名盤ですな。