ジジ・グライス(as)がこのレーベルに吹込んだ3部作の真中の盤で、他の2作「sayin' domething」「the rat race blues」と同様に、リチャード・ワイアンズ(p)とリチャード・ウィリアムス(tp)が参加しています。他の2作との相違は、有名曲の多さですね。作曲に関しては定評のあるグライスの代表曲「ニカズ・テンポ」、数あるスタンダードの中でも高い人気の「ラヴァー・マン」や「サマー・タイム」が収録されています。
「ニカズ・テンポ」は良い出来なのですが、短めであっさりと仕上げていますね。出色の出来が、同じくグライス作の「マイノリティ」。アップ・テンポの中で落ち着きがある、聴く者を酔わせるアルト演奏になっています。メンバーのまとまりも、良いですよ。他の2枚では、高音バリバリで目立つ働きをしていたペットのウィリアムスが、ここでは少し抑え目にしているのも、良いポイントかな。グライスのアルトがより引き立つし、ワイアンズのピアノも印象に残るモノになっています。
グライスのニュー・ジャズ3部作の中では、これが一番の出来ですよ。