1999年5月26日掲載
Gigi Gryce       the rat race blues
New Jazz原盤    1960年6月録音

 アルト・サックスのジジ・グライスは、1953年にパリの留学から帰米し、タッド・ダメロンのコンボを経てライオネル・ハンプトンの楽団に参加しました。そこのスモール・コンボのレコーディングのアレンジをクインシー・ジョーンズと分け合っていました。その後幾つかのバンドを経た後、1959年から1961年にかけて自分のクィンテットを率いていました。このアルバムはその時の録音で、ペットにリチャード・ウイリアムス、ピアノにリチャード・ワイアンズが参加しています。聴き所はやはり、彼のアレンジでしょうか。

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 グライスの落ち着きながらブルース感漂う澄んだアルトの音と、ウイリアムスの張りのあるペットの音が印象的な一枚です。タイトル 曲がやはり目玉ですね。短いテーマをホーン2本が力強く吹くとソロが、ピアノ・ペット・ア ルトと代わって行きます。テーマが非常に印象的で、各ソロの導き役、或いは終結役を果たしています。曲名を訳せば“いたちごっこ”になるのですかね。聞いているこのまま演奏が、 ずっと続くような気になってしまいます。演奏はアルトソロの後、ベースとドラムの絡みでフェ イド・アウトして7分弱で終っていますが、実際は倍位演奏していたと想像してしまいます。グライスのアレンジというか全体の構成の仕方が光る曲です。