最初はCメロディサックスを吹いていたアルトのソニー・レッドは、バリー・ハリスのコンボで演奏した後、1957年にカーティス・フラーと一緒にNYに進出しました。その後バード・ランドでのセッションがアルフレッド・ライオンの目に止まり、ブルー・ノートでのレコーディングの機会を得、このアルバムが生まれました。折角のチャンスをレッドはどう活かしたかが、聞き物でしょうね。まぁ、ウィントン・ケリーのピアノだけでも、楽しめると思うのですが。
レッドを一言で表現するなら、ほんわりした、気弱な感じがするパーカー派のアルト吹きです。この大舞台で、暖かみがある音で気持ち良さそうに、しかしちょっと頼り無い感じで吹いてます。そんなレッドをしっかりガードしているのが、やはりケリーのピアノです。西武の松坂投手が初登板の時に、外人バッターに内角球を投げた時に、乱闘寸前になりました。この時、西武の内野人がガードするように松坂の前に 立ったのですが、なんかここでのケリーも、そんな風にレッドを守っている感じです。でも大きな違いは、松坂は睨みつけるバッターを逆に睨み返したのですが、レッドのはその頼もしさが感じられません。しかしだからこそ、このようなゆったりホンワカした好盤が出来たのでしょうね。