1967年2月22日にコルトレーンはヴァン・ゲルダー・スタジオで、ラシッド・アリと二人のレコーディングに臨みました。その辺りの経緯は、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。
1966年後半からのコルトレーンのライブでの演奏、そして一週間前のスタジオ・セッションを聴いてみると、ここでの二人だけでのレコーディングに、私は必然性を感じます。このバンドでコルトレーンが求めていたリズムと自分との関係を突き詰めて考え、コルトレーンはこのレコーディングを考えたのでしょう。もちろん世の中には、ラシード・アリの収入を考えてコルトレーンはこのセッションを用意したとの考えもあるようです。
このセッションでは6曲が演奏されました。アルバム「インターステラー・スペース」として1974年8月に発売された際には、次の4曲が収録されました。
A面
Mars
Venus
B面
Jupiter
Saturn
残りの「Leo」と「Jupiter Variation」は、1979年に発売されたアルバム「ジュピター・ヴァリエーション」に収録されました。
その後にCD時代となり、アルバム「インターステラー・スペース」へのCD追加曲として2曲が収録されるようになっていきました。さらには2000年代に入ってから発売されたこのアルバムのCDに、フォルス・スタートなどの6テイクが追加されたとのことです。このCDはアメリカだけの発売のようで、私はこの6テイクを聞いておりません。
各曲については、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。
コルトレーンがソロを取れるミュージシャンになってから12年の間に、テナー・サックスで数多くの表現をコルトレーンは行ってきました。そこには奏法へのいくつものトライがあったのでしょう。そんなコルトレーンのテナー・サックス表現の世界が、ここでの演奏に詰め込まれているように私は感じます。それを成し得たのは、ラシッド・アリの持つリズムとの対比によってでした。
このセッションで得たものをコルトレーンは、新たな展開への手がかりの一つにしたことでしょう。
もしコルトレーンがこの録音から半年経たずに亡くなることなく、新たな表現への扉を開ける試みを続けていたならば、私たちリスナーに素晴らしい成果を残したことでしょう。そしてその成果に触れると、このアルバム「インターステラー・スペース」が重要な意味を持ってくるような気が、私はいたします。
たらればであり、妄想話ですが、これまでもこれからも、コルトレーン・ファンはこんなことを考えていくのでしょう。