コルトレーンが死んでから2ヶ月後に発売された、コルトレーンの「遺作」です。後年になって「本当の遺作」などが登場しますが、やはりこの作品が「遺作」という言葉に相応しいでしょう。
コルトレーンは1967年に次の6回のスタジオ・レコーディングを行いました。
2月15日、2月22日、2月27日、3月7日、3月29日、5月17日
この作品にはそのレコーディングの中から、4曲が収録されています。
A面
Ogunde(3月7日)
To Be(推測 5月17日)
B面
Offering(2月15日)
Expression(推測 2月or3月)
2曲の録音日が推測となっています。
当初はその録音日が「確定」されていましたが、デイヴィッド・ワイルドによるABCパラマウント書類の調査により、上記の推測とした2曲の録音日の正確な証拠が得られなかったとのことです。
各曲については、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。
この作品を聴くと、どうしてもコルトレーンが生きていればどのような形で演奏活動を進めていたのかと、誰もが思い描くことでしょう。各識者もそれぞれの思いを書いております。このアルバムで描かれている「静」のコルトレーンに言及したものが、多いようです。
1967年に6回のスタジオ活動を行なったことについては、いくつかの推測がありますが、確定的なものではありません。また肝臓癌によってコルトレーンの体調はどんなものだったのかも、想像するしかありません。その中で、このアルバム制作にコルトレーンがどこまでかかわったかも、不明であります。
私は、無駄を削ぎ落とした美の世界を追い求めるコルトレーンの姿が頭に浮かびますし、その一方で新たなリズムを追い求めるコルトレーンの姿も思い浮かびます。