2013年に、1965年8月26日のセッションの全容を収めたCD2枚組が発売されました。アルバム「サン・シップ(AS9211)」制作過程が収まった、2時間弱です。
収録順にその過程を振り返ってみましょう。(詳細は「今日のコルトレーン」をお読みください)
Dearly Beloved
フォルススタートを含め4回の演奏が行われ、最後の演奏がAS9211に収録されました。この完全版には全て収録されています。
Attaining
ブレイクダウンを含め4回の演奏が行われ、この完全版にはその4回収録されている。AS9211にはテイク3にテイク4をインサートしたものが、収録されている。
Sun Ship
ブレイクダウンを含め4回の演奏が行われ、この完全版にはその4回収録されている。AS9211にはテイク4にテイク3をインサートしたものが、収録されている。
Ascent
インコンプリートを含め8回の演奏が行われ、この完全版にはその8回収録されている。AS9211にはテイク1にテイク7と8をインサートしたものが、収録されている。
Amen
2回の演奏が行われ、2回目の演奏がAS9211に収録されました。この完全版には全て収録されています。
この完全版は、コルトレーンが残した音源は全て聴きたいとの方には、必須アイテムと言えるのでしょう。またこの時期の黄金カルテットのアルバム制作への真摯な姿を知ることができる、CD2枚組と言えるでしょう。
最後に余談を一つ。
1962年9月26日のエリントンとの共演セッションの際に、もう1回録り直すかの提案に対してエリントンが、「やり直すなんてとんでもない。自分自身の模倣に陥るだけで終わってしまうよ」と言ったのは有名な話です。事実、そのセッションでは全曲が1回の収録となりました。
しかし世の識者やネット上の話として、コルトレーンはこのエリントンとのセッション以降は何度も録り直すことはしなくなったとの発言を目にすることがあります。この「サン・シップ完全版」を持ち出すまでもなく、コルトレーンはエリントンとのセッション以降も何度もの録り直しを行っていました。