ジャズマン、特にサックス奏者は、ビッグバンドものとボサノヴァものに取り組みたいとの思いがあるのでしょう。ジョー・ヘンダーソンは1990年代に多くの作品を残しましたが、その中にある本作は、「The Music of Antonio Carlos Jobim」と副題にあるように、ボサノヴァものです。
前半は「Joe/Braz/Jobim」と名付けられており、次のメンバーで5曲演奏しています。
Eliane Elias(p)、Oscar Castro - Noves(g)、Nico Assumpção(b)、Paulo Braga(d)
後半は「Joe/Jazz/Jobim」と名付けられており、次のメンバーで7曲演奏しています。
Herbie Hancock(p)、Christian McBride(b)、Jack DeJohnette(d)
前半の部は聴き心地の良いブラジルの空気の流れの中で、ヘンダーソンが心安まる演奏を披露しています。その中にあって少しの刺激が混じる「Boto」での演奏が気に入りました。
後半の部では、実力者がブラジルの風を意識した演奏を繰り広げる中で、ところどころで実力者ならではの仕掛けがあり、心地よさと共に、そんなところも楽しめる内容です。「Portrait in Black and White」から「No More Blues」へと続く流れが気に入りました。
聴き心地よよさと少しの刺激が楽しめる本作品の後にヘンダーソンは、その名も「Big band」という作品を制作しています。