罪作りなジャケットです。ジャケットには赤い光に浮かぶコルトレーン、そして Newportとの文字、さらにはコルトレーンと並んで Archie Shepp の名が書かれています。このジャケからの情報だけだと、ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルでコルトレーン・バンドにシェップが加わって演奏したと、思うことでしょう。
1965年7月2日のニューポートの舞台に、コルトレーン・バンドとシェップ・バンドは別々にステージに立ち、そのハイライトを記録したのが本作品です。
コルトレーンはこの週の月曜日に「アセンション」の録音をおこなっており、数日後の金曜日にニューポートへの出演となりました。この盤には「One Down, One Up」が収録されており、他には「My Favorite Things」が演奏されています。ちなみにコルトレーン・バンドのニューポートへの出演は計4回ありますが、黄金カルテットでの出演はこの1965年だけです。
シェップ・バンドのメンバーは次の通りです。
Bobby Hutcherson(vib)
Barre Phillips(b)
Joe Chambers(d)
このカルテットで5曲を演奏し、この盤には次の4曲が収録されました。
Rufus (Swung His Face At Last To The Wind, Then His Neck Snapped)
Le Matin Des Noire
Scag
Call Me By My Rightful Name
本作品はコルトレーンの(共同名義ですが)インパルス!第12弾となります。
コルトレーンの演奏については「今日のコルトレーン」をお読みください。
シェップの演奏ですが、インパルス!で立て続けに作品を発表していた時期の演奏だけあって、シェップの豊かなアイディアが詰まっている演奏です。ハッチャーソンのヴァイブを最大限に活かして、そこにサックス演奏の独自の世界を掴み取ろうとしているシェップが刺激的な存在で輝いています。その意味では「Le Matin Des Noire」が聴き所と言えるかと思います。
本盤をシェップがコルトレーン・バンドに客演したと思って購入した方も、ここでのシェップ・バンドの演奏を聴けば、満足したことでしょう。